PEOPLE
2023.6.1.THU
MY SUSTAINABLE LIFE
#27
ありのままにまっすぐ生きる
日本の伝統文化の景色を背景に、洋楽の弾き語りをし、「和」と「洋」の組み合わせで動画配信をしたことがきっかけで音楽活動をスタート。
バンライフやサステナブルな取り組みなどを通して自分の気持ちに素直に生きるMiyuuさん。今回は、そんなMiyuuさんの想いや暮らしを紐解いていきます。
ちょっと豊かになるきっかけに
―音楽活動を始めたきっかけを教えてください。
大学在学中に、YouTubeで京都の寺社仏閣で洋楽カバー曲を弾き語りする動画を配信したのがきっかけです。大学では観光学を専攻していたこともあり、日本に興味がある海外の方に向けて、自分の好きな洋楽を歌いながら、京都という日本の文化を代表する街の景色を 「Miyuu×Kyoto」というシリーズでアップしていました。
現在所属しているavexが主催するオーディションにその動画を持ってエントリー。シンガーのみのオーディションではなく、YouTuberオーディションだったので、様々な経歴の方がエントリーしていましたが、その中でグランプリをいただけて、すごく嬉しかったです。
―音楽を通して何を伝えていきたいですか。
聴く人の日常がちょっと豊かになるきっかけになればいいなと思いながら曲作りをしています。
私の愛車は古い軽バンでラジオしか聞けないんですけど、 ドライブ中にJoni Mitchellの“Big Yellow Taxi”という軽快なロックンロール調の明るい曲が流れていました。でも実は環境破壊について歌っている歌詞で、Joniがハワイに滞在した時にホテルから見た景色がコンクリートで固められた駐車場ばかりだったことに驚き、生まれた曲だそうです。
この曲との出会いで、私も日常で見る景色をただ眺めるだけじゃなくて、思考を持ちながら物事を見てみると、毎日起こること全てに意味があるって思えて、前よりも日常がちょっと楽しくなったんです。 自分の作る曲も、そんな風に誰かの人生を豊かにするきっかけになれたら、すごく幸せなことだなと思います。
人生一度きり
―期間限定で行ったバンライフ企画「30DAYS VAN LIFE」を行った経緯を聞かせてください。
コロナ禍で、一切ライブができなくなった時に、曲を作ってもレコーディングすら密になるからできない。このまま音楽を続けていけるのか?と不安になる日々が続いて、増え続ける感染者数を見たりして、悲観的になったりして心が疲れていたんだと思います。そんな時に、「人生っていつどうなるか分からないし、今本当にしたいことをしなきゃ、一生できないかもしれない」と思ったんです。そこでまず思いついたのがバンライフで、気付いたら運転免許を取る前に車を買っていました。笑
「人生のきっかけになるバンライフ」というテーマを掲げてスタートし、自分の人生との向き合い方を変えてくれた30日間となりました。
―バンライフとは、実際にどのようなことをされているのでしょうか。
バンライフってまだ新しい言葉で定義づけがされていないんですが、私は、1泊の車中泊でもバンライフと呼んでいます。飛行機や電車のように、目的地に着くと降りなきゃいけないわけでもなく、旅の途中でも、目的地についても、自由に過ごせるのがバンライフの良いところです。
私の場合、メインで住む場所はありつつ、月に数回バンライフという感じです。「今から車でどっか行きたい!」と突然思った夜とか、長期のオフができたら、行き当たりばったりで数日間の車中泊など、気分でバンライフをしています。
軽バンで居住空間が限られているので、DIYで板張りの天井やベッドを作ったり、廃材を使ってシェルフを作ったりなどして自分好みの空間作りを楽しんでいます。軽バンって意外と広くて、190cmのベッドが入るんですよ〜!すごくないですか?
―そんなに広いのですね。では、バンライフを通して何か変わったことはありますか。
バンライフに出会うまでは、自分ってすごく凝り固まった人だったなと思います。でもバンライフを通して、行ったことない街で出会ったことのなかった人たちとの一期一会を何度も繰り返すことで、「みんな違ってみんな良い」という言葉が身に染みて感じました。
それぞれの場所でそれぞれの生き方がある。もはや自分がどうあるべきかなんてどうでも良くなりました。 それより大事なのは、どう生きたいか。 このマインド変化は、自分の中ですごく大きかったです。
好きな時に好きなだけできるバンライフ。そのスタイルが今の自分にすごくしっくりきているなと思います。
30日間くらいのバンライフもまたしてみたいなと思っていますが、もし長期的にするなら、次はたくさんの地域に根付くお祭りやクラフトがある東北地方を周りたいです。考えるだけでもワクワクします!
もし、この記事を読んで、バンライフに興味が湧いたら、まずはレンタカーで軽バンライフ、挑戦してみてほしいな〜♪
“今・この瞬間を自由に感じる”
―ライフスタイルブランド〈RON FOLK CO.(ロンフォーク)〉について教えてください。
〈RON FOLK CO.〉は、3年前から構想がありました。その頃、私は自動車免許を取得するために教習所へ通っていたんですけど、免許取ったら、いろんなところを旅しながら出会った人たちと何か楽しいことをしたいな~と漠然と思っていました。
取得後、実際にバンライフで各地を旅して、今まで知らなかった各地の伝統文化やそこで暮らす人たちの営みに触れ、知らなかったことの発見や、新しいことを体験しました。その時の高揚感に背中を押されて、 この瞬間のときめきを形在るものとして、〈RON FOLK CO.〉で届けたいと思い、ライフスタイルブランド〈RON FOLK CO.〉を立ち上げました。
―ブランドメッセージに“今・この瞬間を自由に感じる”とありますが、Miyuuさんの思う、「自由」とは何ですか。
同じ曲を聴いても、同じ景色を見ても、人によってその受け取り方って全然違いますよね。 その「違い」ってその人の個性だし、他の誰にも感じることができない唯一無二のものなんです。でも、それを、「本当はこうでなくちゃいけない」とか、「こうあるべきだ」とかって思い込んじゃうのはもったいないなって思うんです。
私自身も、30代を目前にして、30代女性はこうあるべきだとか、こうした方が…とか思うことがあります。でも、人と比べて不安になったり、劣等感を感じて焦ったりする心を大事にするよりも、面白い!好き!楽しい!と、ときめいている心を大事にしてあげられたらいいなと思っています。みんな一人一人違うんだから、私も自分の心が感じた素直な気持ちを大事にしようと思えた時に、私今自由だ!って思える気がします。
無理せずできることを
―Miyuuさんの考える「サステナブルな暮らし」とは何ですか。
まさしく直訳ですが「持続可能な暮らし」です。 続けることが何より大事なんです。無理なダイエットって続かないですよね。無理しているから。 私も何度も挫折しました・・・。いきなりライフスタイルを大きく変えることは、実はサステナブルという言葉からかけ離れていると思うんです。
無理せずできることを長く続けることが重要で、その続けている過程で、また学んで、自分自身のアイデンティティが確かなものになっていく。それがまた次の世代にも引き継がれていければ、それは立派なサステナブルだと思います。
―サステナブルを意識し始めたきっかけを教えてください。
祖母が愛媛県に住んでいて、夏休みなどの長期休暇によく遊びにいきました。
家の窓から四国の山々が一望でき、瀬戸内海ののんびりとした雰囲気にいつも癒されているんですが、愛媛まで行くのに、瀬戸大橋を渡るんです。
瀬戸大橋を渡り終える頃に、たくさんの工場からモクモクと黒煙が上がっている景色を見て、子供ながらに、空気が汚れていく、と悲しい気持ちになりました。
それから、なんとなくTVで環境問題のニュースが流れていると気になったり、自分の身の回りのモノやことが、環境にどんなインパクトを与えているのかを意識し始めるようになったかなと思います。
―ご自身で取り組んでいるサステナブルな活動について教えてください。
日常生活で、マイボトルを持ち歩いています。 ライブの時もステージドリンクは、マイボトル。 私のライブをきっかけに少しでもサステナビリティについて興味を持つきっかけになればという思いから、アーティストグッズとして、マイボトル、ステンレスストローの販売もしています。
それから、普段使っているスキンケアやコスメも、できるだけリフィルができるものや、オーガニックコスメを選ぶようにしています。普段の生活で出るゴミの量を少なくすることはすぐに取り組めることなので、小さいことからやってみよう!という気持ちでトライしています。
最近、買い物をする時に意識していることは、製造者やその商品のストーリーが見えるものを選ぶことですね。 音楽の場合、曲を作った人が掲載されてクリエイターとして敬意を払われることが多いと思います。でも、なぜか普段私たちが着ている服を縫製してくれる人たち、 普段食べている食材を生産してくれている人たちの存在って、名前も知る術がなく、どうやって作られたのかも知らないことが多い。遠くの存在に感じて、見えない壁があるような気がしています。
もし、 生産過程をもっと知ることができれば、身近なファッションや食が自分ごとになって、いずれ環境問題も自分が循環の中の一人だということをより感じながら生活できるんじゃないかと思っています。
ちなみに、私が乗っている車は2000年式のスバルサンバークラシックという車種で、20年以上前の車です。長く大切に乗っていくためにも、点検はすごく頻繁にしています。これも、私にできるサステナブルな暮らしの一つかと思っています。
アーティストグッズっぽくないファッショナブルなアイテムを
―今回、O0uとコラボしようと思ったきっかけを教えてください。
元々、instagramを見ていて、素敵なコンセプトのブランドだなぁと思っていました。 サイトの商品ページを見ると、顔のマークが並んでいて、笑っている顔、困っている顔、その表情で、その商品が生産される過程でどれだけ環境に負荷をかけたかが分かる。ただ数字を載せるだけじゃなく、一目で分かる楽しい工夫が素敵だなと思っていました。
何度か展示会に呼んでいただきましたが、そこでヘンプのTシャツに目が止まりました。環境負荷の少なく、かついい意味でアーティストグッズっぽくない、ファッショナブルなアイテムを制作したいと思っていたので、すごく興味があって、 お話を聞くうちに話が盛り上がり、今回のコラボレーションにつながりました。〈RON FOLK CO.〉と〈O0u〉のヘンプ生地のコラボTシャツを販売予定です。
―なぜヘンプが気になったのですか。
最初のきっかけは、肌当たりの良い生地感です。素材が柔らかくて、初めて着るのに、もう何度か着て肌に馴染んできた頃の感じの着心地が気に入りました。詳しく知ると、環境負荷も少なく、“この素材で作りたい!”という思いが強まりました。速乾性・消臭効果もあるのでこれからの季節にデイリーユースで着てほしいです。
コラボTシャツは、オーバーサイズな作りになっているので、性別問わず楽しんでいただけると思います。カラーは、〈RON FOLK CO.〉のブランドカラーのブラウンをベースに4色展開です。
私のライブやイベントなどで、商品を実際に触れていただける機会もこれから増やせたらと思っているので、生地感やカラー選びも楽しんでもらえればと思っています。常設の実店舗がない〈O0u〉の魅力も、コラボTシャツを通して伝えていけたら嬉しいです。
―最後に、「環境・社会問題、サステナブルな取り組みについて、興味はあるけどなんだか今一歩踏み出せない…」という読者に対して、メッセージをお願いします。
自分の好きなことから環境問題・社会問題に触れることが、楽しく踏み出せる方法かなと思います。
例えば、コーヒーを飲むのが好きな人は、コーヒーを淹れた後の豆かすはどこに行くんだろう?とか、スニーカー好きなら、この靴はどんな過程で作られているんだろう?とか。 身近なものは全部、環境問題や社会問題にリンクしているので、好きなものをもうちょっとだけ知ってみることが環境・社会問題へのあと一歩になると思います。
一人の小さな力が集まれば、それが大きなムーブメントになると信じています!♡
PROFILE
Miyuu(読み方:みゆう)
自然と旅を愛するシンガーソングライター
アイコンであるレフティーのアコースティックギターと、DIYした愛車で、旅をしながら神奈川県を拠点に全国で活動。
学生時代は観光学を専攻し、YouTubeで観光名所である京都の寺社仏閣で弾き語りしている映像を発信したことがきっかけで音楽活動を開始する。
2022年5月には、自身の運転するキャンピングカーで日本各地を車中泊トリップ(バンライフ)し制作した、自身初の音源書籍「30DAYS VAN LIFE~Trip on Music~」をTWO VIRGINSから全国出版。
現在、
JAL機内映像「デトックストリップin宮崎」「サスティナブルトリップin西表島」に出演中。
日本自然保護協会との「砂浜ムーブメント」を企画し、毎年SDGsの海洋保護活動にも参加。
旅先での出会いや、自然からインスピレーションを受け、ライブ・楽曲制作のみならず、観光PR作品への出演やライフスタイルブランド「RON FOLK CO.」を手掛ける。
2016年、デジタルシングル「Southern Waves」を配信。
2018年、アルバム「COME ONE, COME ALL」でメジャーデビュー。
以降、4年連続でアルバムをリリース。
SNSでは、音楽・旅・自然をキーワードに自身のライフスタイルを発信中。