INSPIRATIONS
2021.09.24 FRI
ECO-FRIENDLY PIONEERS
#12
環境を守りながら"洗濯"を楽しむ
フレディ レック・ウォッシュサロンは、ベルリンと東京にあるカフェ&コインランドリーです。“前向きなココロとライフスタイルが作れるようなモノ・コトをランドリーシーンから“をモットーに、暗くて狭くて入りづらいというコインランドリーのイメージを一新させたパイオニアです。また洗剤は言わずもがな、ランドリーグッズも環境に配慮したものをしっかり提案。サステナブルな取り組みも積極的に行っています。
街と共存する身近なウォッシュサロン。
フレディ レック・ウォッシュサロン トーキョーは、昔ながらの情景と、オーガニックにこだわった食料品店やトレンドの飲食店などと、新旧入り交じる商店街がある学芸大学に構えます。2008年にドイツでスタートしたこのブランドは、創業者のフレディ・レックが洗濯する場所であるにもかかわらず、清潔な環境とは言い難かったコインランドリーのイメージを一新したいという思いから始まりました。この志は、日本のディレクターを務める鈴木新さんも体現しています。
「日本でも昔ながらのコインランドリーは、暗く清潔感がない店も多い。そのためフレディの理念には感銘を受けました。日本でもベルリン同様にカフェスペースを設け、コーヒーから軽食まで用意し、洗濯機を回している間でも楽しんでもらえるような空間にしています。コーヒーを飲みながら本を読んだり、近所のご友人と話したり、地元のコミュニティサロンとして使ってもらえるようにしています」
「コインランドリーの商圏は半径500mと言われていて、地元に根付くことが大事なんです。洗濯を楽しんでもらうためにクラシックを中心とした音楽を流したり、創業者の祖母の家をイメージした壁紙やシャンデリアを使ったり、というのもフレディ レック・ウォッシュサロンの特徴ですね」
またカフェスペースには、クリーニングサービスも併設されていて、洗濯が難しいデリケートな素材から、型崩れしたくないドレスアイテムも対応してくれます。
地球環境のためにできることを一歩ずつ。
フレディ レック・ウォッシュサロンが拠点を置くヨーロッパでは、いち早く環境問題に取り組み、SDGsの意識が非常に高いことでも知られています。とくに洗濯において、化繊の洋服を洗濯した際に出るマイクロプラスチックや、蛍光増白剤などが海洋汚染の原因として大きく取り上げられるようになったため、洗濯方法の見直しが進められています。
「“安心安全で地球にも優しい洗濯“というのは、我々にとっても大きな命題です。ただ一気に改善することは難しく、一歩ずつ進めることが大事。例えばオリジナルの洗剤は使う成分をすべて見直し、工場と相談しながら合成界面活性剤に植物由来の液体石けんを配合しています。環境への配慮を優先して、溶け残りの発生や洗浄力が落ちてしまっては意味がないので、バランスのとれた調合が必要なんです」
フレディ レック・ウォッシュサロンではトレーサビリティに対しても強く意識していて、洗剤はすべて信頼できる日本の工場で生産。ヨーロッパで開発された本家オリジナルは家庭用洗濯機で使われる水温が日本と異なるため、日本の環境に合わせているそうです。
一方で固形の洗濯石鹸に関しては、ドイツの伝統的なものを販売。“ガルザイフェ”は、オーガニックな牛の胆汁が持つ乳化作用を利用して、皮脂、血液、果汁、ドロなど様々なシミ汚れが除去できる優れもの、オーガニックゆえに環境にも優しい、一石二鳥の製品です。
「洗浄力を求めると世の中に普及する石油成分や界面活性剤に頼りたくなるでしょう。でも実は、昔ながらの石鹸の方が、水温によっては洗浄効果が高いんです。石鹸というのは水温40度以上で使うと洗浄力が高いのでおすすめ。ドイツでは古くから愛用されていて、今も多くの方が使っているシミ抜き石鹸なんです。」
環境に優しい道具で“洗濯”を楽しむ。
サステナブルな取り組みは、洗剤だけではありません。“ものを捨てずに繰り返し使う”という環境配慮の基本もしっかり意識。オリジナルの卓上アイロン台は、そんなアイデアから生まれたそうです。
「卓上アイロン台は表面が傷んだり汚れたりすると、洗うことができないのですぐ捨てられてしまう傾向にありました。そこで発案したのが、カバーを取り替えられるアイロン台。これなら汚れたら洗い、穴が空いたら付け替えればいいので、永いこと愛用いただけます。もちろんスチームアイロンにもしっかり対応。品質にも妥協はありません」
そのほかオリジナルグッズの一部にもできるかぎり、植物由来の素材を採用。濡れた洗濯物を運ぶのに使えるランドリーバスケットはその最たる例です。
「ランドリーバスケットには、植物由来原料を25%使うことで少しでも環境に配慮できるように努力しています。またマイクロプラスチックをキャッチする洗濯ネットも開発中で、そろそろ商品化できそうです」
“サステナブルな取組は、できることを一歩ずつやっていく”。様々な取組を聞いていると、冒頭で鈴木さんがそう話していたことがよくわかります。最後に今後の展望を聞きました。
「理想は、うちのウォッシュサロンを使うことで、お客様が知らぬうちに環境に貢献できているという状況に整えることですね。“あそこのコインランドリーは環境に優しいから使おう”。そう思ってもらえたら、それだけ本望ですね」
フレディ レック・ウォッシュサロン トーキョー
https://www.freddy-leck-sein-waschsalon.jp
instagram:freddyleckseinwaschsalon.jp
東京都目黒区中央町1-3-13
TEL03-6412-8671
10時〜18時 木曜定休(コインランドリーは24時間無休)
INFORMATION
Ptoto:甲斐俊一郎
Text:佐藤周平