FASHION
2022.04.01 FRI
Inside O0u
#04
世界に誇る手仕事の現場 児島デニム
〈O0u〉が目指すのは、すべてのひとにとっての本当の心地よさ。たどりついたのは、地球と生きる、というものづくりの哲学です。その「ものづくり」へのこだわりは、素材の調達や開発からはじまり、どこで、誰が、どうやって生産するかまで、慎重に選ぶことを徹底しているところにあります。
今回、特集するのは〈O0u〉でも人気の高い「デニム」のルーツについて。〈O0u〉のデニムが生産される児島の工場を巡る、デニム旅へと向かいましょう。
「倉敷市児島」は、岡山空港から車で1時間ほどのところにあります。少し車を走らせれば、美しい海と、瀬戸大橋が望める、気候も穏やかな場所。
岡山県倉敷市に位置する児島は「国産ジーンズ発祥の地」と言われ、その繊細で丁寧な日本ならではの技術は世界的に高い評価を受け続け、海外のメゾンブランドからもオファーが絶えません。その歴史は1965年まで遡り、現在においても変わらぬ技法で職人によるこだわり抜かれた製作がなされています。
児島でデニム産業が発展した経緯
児島でデニム生産が盛んになるきっかけは、まず児島が海風の影響で「米が採れない文化」にあったといいます。米の代わりに綿を栽培し、三河綿に並ぶ高級品として児島の綿が知られるようになっていきました。江戸時代後期には真田紐、帯刀禁止令がでたので足袋にシフトして、生産量は1000万足超えて児島は足袋で日本一になりました。
その後は足袋も衰退していき、やがて学生服の生産が盛んになり、1963年のピークを超えると徐々に学生服の生産も減少し、学生服に代わって戦後米兵の古着の中に多くまぎれていた藍色のジーンズが目に留まり、今まで足袋や学生服で培った裁断、縫製技術を最大現に生かして完成したものが「児島のデニム」となりました。
昔ながらの洗いの加工技術、最新の地球にやさしいマシン
ルーツ巡りとして、まずはじめに訪れたのは〈O0u〉のデニムの洗いの工程を担う加工場、株式会社WHOVAL。
デニムにとって重要な表情を決める「洗い」の工程には、熟練された技術者、感性ある若者が関わっており、培われた経験値をもとに、微妙なブルーの色を調整する作業がおこなわれていました。
マシンの中には、デニムと一緒にさまざまな石を入れ、風合を変えていきます。石の使い分けや、その量によって、それぞれに深みの異なる、美しいブルーのデニムが生まれます。
さらに、この加工場では環境への配慮を考え、洗いの工程で必要となる水の使用量を50%削減することができるナノミスト加工の最先端マシンをいち早く導入し、サステナブルなものづくりを強化しているとのこと。昔からの技術に、最新のテクノロジーを融合させる取り組みは、ここでも「地球と生きる」というために必要な選択肢となっています。
職人の体温まで伝わる、デニム加工
次に訪問したのは、デニムの手作業の細やかな工程である「削り」「抜染(ハンドブリーチ)」「スプレー(汚し)」「リペア」を担う加工場、株式会社癒toRi18。この加工場は、〈O0u〉のデニムの他にも国内外のメゾンからも依頼を受けている加工場で、世界的な注目度も高い。
専務の川上さんは若くしてこの児島で起業し、その加工技術と感性を磨き続け、今では年間15万本ものデニムの加工を行っています。
「海外のビッグメゾンからの依頼が多く入る状況には、はじめは驚きましたが、ここでは中国やヨーロッパ、アメリカにも真似できない丁寧なフルオーダーの手作業をしているところが強みです。年々機械的な技術が発達し、複合工程が進むなかで、手作業にこだわり続けています。」
「海外では、一本一本が揃っているよりも、「かっこよかったらOK」という評価基準があり、フルオーダーのような感覚でサンプルからレシピ作りをおこなうスタイルにも、共感が得られているんです。日本では、デザインや縫製がどれだけシンメトリーかを評価される文化があるので、どちらにも対応できる技術力が必要です。」
さまざまなニーズに寄り添うものづくりができること、唯一無二の加工技術がある児島だからこそ叶えられるデニムのかたちが、世界中のデザイナーやファンの心を掴んで離さないのです。
「時代が移りゆく中でも、手作業にこだわる理由は、風合いを見ながら絶妙な塩梅を見極めるため。だから、若手スタッフにも最初の工程を覚えさせたら、あとはその人にやる気があって、どういう風に興味を持って、聞いてくればアドバイスをするようにしています。こだわりが強いが故に諦めざるを得ない部分も出てくるけれど、それだけモノづくりに対して熱い思いを持っている人が集まるということ自体が素晴らしい。そしてその真摯な姿勢は、とても美しいと思うんです。」
”Made in Kojima”の上質なデニムを〈O0u〉で
最後に株式会社癒toRi18の川上さん、萩さんのお二人にはいてもらいました。
「〈O0u〉のデニムは、GOTS認証の取れたオーガニックコットン100%の生地を使っていて、やっぱり生地の調達から上質な素材にこだわっているなと、生産している身としても感じます。はき心地もいいですね。」と川上さん。
〈O0u〉で人気のデニムの魅力は、そのシルエットデザインだけではなく、児島の高い生産加工技術と、穏やかな気候、人々のデニムに対する愛情が詰まっている点にありました。
後編 「O0uとめぐる児島デニム旅」につづく
INFORMATION
【株式会社癒toRi8】
日本におけるジーンズ発祥の地として、世界的にも注目を集めている児島。そのジーンズの街で、年間約15万本ものジーンズ加工・製造を担っている。ドメスティックブランドから海外の有名ラグジュアリーブランドまで、数多くのメーカー製品を手がける。
Instagram:https://www.instagram.com/yutori_18
【株式会社WHOVAL】
国産ジーンズ発祥の地で ある倉敷市児島で生まれ、デニムに慣れ親しんで育った代表が2009年に法人化。ジーンズ及びアパレル製品の染色・洗い加工裁断・縫製、OEM生産管理、製造販売まで一気通貫で対応できる技術を持ち、児島産デニムの価値を高め続けている。
Instagram:https://www.instagram.com/whoval_official
Writing: Yukari Fujii
Photo: Ryo Kawano