
INSPIRATIONS
2023.10.2.MON
ECO FRIENDLY PIONEERS
#25
メガネが主役の時代をつくる
一人ひとりの暮らしに寄り添い、ファッションツールであるメガネを日常化し、Tシャツのように楽しめる存在へと変える取り組みをしているメガネブランド「Zoff(ゾフ)」。
今回は、「Zoff(ゾフ)」を展開する株式会社インターメスティックの広報である井上さんに、企業活動を通じて伝えていきたい“想い”を伺いました。
メガネがTシャツのような身近な存在に
―― Zoffの成り立ちを教えてください。
Zoffのビジネスモデルは、「メガネがなぜ、このように高額なのか」「レンズを入れた完成価格が、なぜ不透明なのか」と疑問と、創業当時、医療品や宝飾品に近かったメガネをファッションとしてユーザーに身近に感じていただきたいという思いから生まれました。
かつてのメガネ販売におけるコストの大部分は、自社で在庫を抱えない業界特有の流通等にかかる“中間コスト”に割かれていましたが、創業者の前職であるアパレル業のノウハウを生かし、「製造から小売りまで一貫して自社で行う」SPA方式(製造小売業)をメガネ業界に初めて導入しました。それにより卸業者を挟まずに中間コストをカットすることで、品質を落とすことなく適正価格化を実現することができました。ちなみに「Zoff」というブランド名は、アルファベットの最後の文字である「Z」と「オフプライス」を組み合わせた「究極のオフプライス」が由来です。
私達のミッションは「メガネが主役の時代をつくる」ことです。2001年の立ち上げから今日に至るまで、業界へのSPA方式の導入をはじめ、特殊プラスチック素材を使った「Zoff SMART」シリーズの開発、ファッション性に重点を置いた商品展開、有名キャラクターやファッションブランドとのコラボレーションなどにより、メガネを気軽に楽しめる環境をつくることができたのではないかと自負しています。
―― Zoffの特長、利点を教えてください。
SPAを業界でいち早く取り入れることで実現した、高品質のメガネを適正価格で提供することだけではなく、お客様からの声を盛り込んだアイデア豊富な商品、様々なコラボレーションや新機能搭載の新商品を毎月100点以上展開しています。そして、スタッフのホスピタリティもZoffの一つの特徴です。数あるフレームの中から、お客様に最適な1本を、すべてのスタッフが、一人ひとりのお客様のライフスタイルや利用シーンに合わせてメガネ探しをお手伝いします。
―― 企業活動を通して何を伝えていきたいですか。
メガネを購入する主なきっかけは、無くした・壊した・見えづらくなった、という要因です。デザインやブランド、機能性などの付加価値により、視力矯正というニーズを満たすだけでなくウォンツにも応えることで、「Tシャツのように」メガネの複数本所持が当たり前の文化醸成を目指していきたいと考えています。
マイナスをプラスに変えるツール
――貴社の考えるSDGsやサステナブルとは何ですか。
Zoff創業の2001年当時、メガネは視力を補助するアイテムとしての役割が強かったですが、時代と共にその役割は進化してきました。現代の様々な変化、例えば、花粉、PM2.5、紫外線に対する人々の意識の変化、スクリーンタイムの増加、そして新しい生活様式に対応して、メガネはただマイナスをゼロにするだけでなく、マイナスをプラスに変えるツールとしての存在感を増しています。
Zoffは「Eye Performance」というブランド戦略を掲げています。これは、進化し続けるメガネの役割を更に推し進めるもので、メガネを通して、社会の変化や新しい価値を創出し、生活の質を向上させるという考え方です。そうした取り組みを進める中で、SDGsやサステナビリティを真摯に捉え、それらの目標達成に向けて役割を果たしていくことが、次世代ブランドとしての使命だと考えています。
――メガネ業界ではどのような点がサステナブル問題に当てはまりますか。
SPAとして原材料の調達から製造、輸送、販売に至るプロセスで発生するCO2や産廃などの環境負荷は、課題として認識しています。加えて、紫外線の目への影響や、スクリーンタイム増に伴う近視人口の増加、特に子どもの視力の低下や近視の増加は重要な問題だと考えています。
―― SDGsな取り組みがあれば教えてください。
取り組みのひとつに、視力が変わりやすい子どもや10代の若者たちに対して、無料でレンズを交換する「U18レンズ保証」を提供しています。視力矯正が必要な子どもたちを持つご家族にとって、より手頃な価格でメガネを入手できるようにし、日本の視環境に貢献していきたいです。
また、近視の予防推進にも取り組んでおり、目の健康に関する啓蒙のパンフレットを全国の眼科医院や小学校に配布しています。子どもの近視率を高める原因のひとつであるスクリーンタイムの増加などの問題に対し、小学生を対象に健康的な目の生活習慣を身に付けるための出張授業を実施しています。
他にも、従業員の勤務中のサングラス着用を自由化し、紫外線やまぶしさから目を守るためのサングラス着用の啓蒙をしたり、福井県の若狭湾で海洋プラスチックを回収し、素材の一部に使用したサステナブルなメガネの開発を行うなどしています。また、お客様から不要になったメガネを回収し、燃やすときに発生する「熱エネルギー」を回収して利用するリサイクル方法であるサーマルリサイクル化などにも取り組んでいます。
――将来的に取り組みたいSDGS活動があれば教えてください。
サングラスの浸透に取り組んでいきたいです。サングラスは、目の健康を守りながら、安全に仕事をこなすためのアイテムとしてとても有効です。海外では、エッセンシャルワーカーや屋外で働く人々がサングラスを着用することが一般的です。日本でも年々、目の健康に対する意識は高まっていますが、サングラスが日常に十分浸透したとはまだ言えません。最新のファッショントレンドを取り入れたデザイン展開や、多様な機能を持つ商品の提供により、夏場のファッションアイテムとしてだけではなく、それ以外の季節でも “サングラスを気軽に使うライフスタイル”の浸透を目指したいと考えています。
もちろん、サステナビリティに関する新たな技術や知識の取り入れを進め、環境への影響をさらに低減する新素材の導入や、リサイクルシステムの強化、物流の効率化によるCO2排出量の削減なども、取り組んでいきたいです。
自分らしく働ける環境づくりを
―― 今回O0uとコラボレーションいただいた理由を教えてください。
私たちは、「社会や暮らしに必要とされる次世代ブランドへ」というポリシーを掲げ、社会環境問題への取り組みを通じて、サステナブルな社会の実現を目指す活動に注力してきました。他にも、従業員のサングラス着用を自由化するなど、メガネやサングラスをファッションとして楽しむ環境つくりなどにも取り組んできました。制服をリニューアルするにあたり、「Play fashion!」をミッションに掲げ、「サステナブルなファッションの楽しみ方を提案する」という理念を持つアダストリアグループの中で、サステナブルな素材や製造技術にこだわり、ファッションを通じてサステナブルなより良い未来を目指す「O0u」との考え方や哲学が合致していると思いました。
―― 制服リニューアルへの想いをお聞かせください。
新しい制服は、スタッフがより自分らしく働ける環境をつくることを目的としています。さらに、サステナブルな素材の使用により、私たちのエコ志向も反映されています。お客様にも私たちのサステナブルへの取り組みを感じとっていただければと思っています。
――リニューアルすることで、どのような変化を期待しますか。
ひとつは、サステナブル素材を使用した制服を着用することでの、スタッフの環境への意識の高まりです。ファッションの自由度が高まることで、より自分らしく意欲的に働ける環境になることを期待しています。さまざまなスタイルを楽しむことをスタッフ自身が実感し、お客様に提案することで、メガネがファッションとして多くの人々へ広がるきっかけになれば嬉しいです。
――「環境・社会問題、サステナブルな取り組みについて、興味はあるけどなんだか今一歩踏み出せない…」という読者に対して、メッセージをお願いします。
ありきたりなコメントなってしまいますが、特別な取り組みでなくても、私たち一人一人の行動によって状況は前進すると思います。そして、環境や社会問題に対して興味や関心をもつこと自体が、すでにその第一歩を踏み出している証だとも思います。