PEOPLE
2022.02.18
MY SUSTAINABLE LIFE
#21
HALU“ひとつずつ、丁寧に選んで”
大学を卒業と同時にフリーランスで“ビューティーライフデザイナー”として活動するHALUさん。ロースイーツや暦に合わせた食を中心に、ウェルネスでサスティナブルなライフスタイルを発信している。最近では、自身が手がけるロースイーツ・ブランド〈MARI(マリ)〉を立ち上げ、エシカルな食をテーマにした女性コミュニティ〈 ETIKOYA(エチコヤ)〉を主宰したりと、多方面で活躍されています。そんな彼女は、衣食住すべてにおいて、丁寧に選ぶことを大事にしています。サステナブルな観点も大切にする、HALUさんの暮らしぶりや考え方を覗いてみましょう。
美しく生きるために“選ぶ”
——HALUさんは大学を卒業後、すぐにフリーランスとして働きはじめたとのこと。その理由はなんですか?
両親が自営業だったこともあって、企業に勤めるよりもフリーランスとして働くほうが、なりたい自分になれると思ったからです。思い描いたライフプランから逆算して、自分にどんな知識が必要かを考えて、大学を選びました。
——高校生の時点で将来をきちんと思い描けていたなんて、すごいですね。
私は、人生において“食”がとても大事だと思っています。この考えを抱くようになったのにも、きっかけがあるんです。
スイーツ作りが好きだった小学生のころの私は、ちょっとぽっちゃりした子でした。中学に入り部活動ですっかり痩せたんですが、その体型をキープしようと、かなり摂取カロリーを抑えていたんです。高校に入っても変わらず、さらには “痩せている=きれい、かわいい”という当時の風潮もあったことで、ところてんや寒天でお腹を満たす日々。その影響で、高校2年生のときに身体が悲鳴をあげてしまい、倒れてしまったんです。学校の保険医の先生にも、婦人科の先生にも、ひどく叱られました(笑)。
このことをきっかけに、食についてたくさん勉強したんです。また、ちょうど進学について考える時期とも重なり、正しく“美しく生きる”ためにはなにが必要か、将来どうなりたいか、をたくさん考えたんです。こうしてたどり着いたのが「食を通してウェルネスな生き方を発信できるライフデザイナーになりたい」という想いでした。そのためにはどうしたらいいかをさらに考えて、大学ではフリーランスになったときにも活かせるデザインやブランディングを専攻しながら栄養学も学び、現在の活動に活かしています。
——食に対する思いの強さは、〈エチコヤ〉の活動にもつながっていますね。
“人生を豊かにする食”をテーマに、寺子屋のような形で食についてを分かち合うコミュニティとして立ち上げたのが〈エチコヤ〉です。食材本来の生命力や季節感、伝統や人の絆、もちろんサステナブルも含め、未来の食卓に残したい食文化を、メンバーみんなで分かち合おうと集まっています。先生と生徒のような関係ではなく、参加者同士で学び合うことを大事にしています。いずれはここで出会った方々と小さなサステイナブルな村も作っていきたいと考えています。
——特に気になるのが食でサステナブルという言葉。具体的にどんなことですか?
例えば地産地消や旬を意識しています。一時期はオーガニックの食材にこだわり海外の輸入品ばかり手を出していた時期もあるのですが、最近はまず地域のもので無農薬のものがないか見て、なかったら海外産のオーガニックのもの、または地域のものを農薬を落としてから使用するようにしています。なるべく地域のものを手に取ることによって、生産者の顔が見えるし、地域社会に貢献するということでも身体にとってもサステナブルかと思います。一方で海外のオーガニック食材ばかりを選ぶと、運搬によるCO2排出で自然環境に影響しますし、なにより旬を意識しずらいので、まずは国産でいいものがないか探すようにしていますね。
あとは私自身、お肉料理は普段しません。基本的に野菜や豆類中心で、たまに地域の魚介類や平飼い卵をとるくらい。乳製品も取らないペスカタリアン寄りな食生活を送っています。外食ではそのときを楽しむことにフォーカスするので、そこまでシビアに動物性食材を避けてはいません。ですが、家での自炊が日々の食事の9割を占めるなかで、温室効果ガスの排出の原因ともいわれているお肉は“調理”することはないです。それから調味料もただ高級なものではなく、伝統的な製法で丁寧に作られていたり、原料にこだわっていたり、ストーリーを感じられるところのものを、選ぶようにしています。
もちろん私が選んでいないものが、よくないものというわけでは決してありません。例えば醤油は伝統的な蔵元から大手ブランドの工場までいろいろ見学させていただいたのですが、大手ブランドさんは、海外に対して日本の食文化を伝え広めるという素敵な目標に取り組んでいますし。無農薬やオーガニックの野菜にこだわることができるならとことんこだわればいいし、お肉も食べたい人は食べればいい。どれが絶対ということはないと思うので、人それぞれに、納得できるものをきちんと“意識して選ぶ”、このことが大切だと思っています。
——選ぶことで、暮らしにも余裕や幅が生まれそうですね。
食や住居といった暮らしに関わるものごとに意識を高めると、自然と幸福感が高まると思います。とくに食べ物は自分自身を形作る素材、ベースですから、性格にも影響するかもしれませんね。となると、納得できるものを選びたくなりませんか?
どうせなら、環境にいい方を
——普段から意識しているサステナブルな行動はありますか?
ここ数年はコロナの影響もあって、日々の暮らしを見直す期間があったので、食だけでなく、衣食住すべてにおいて、暮らすなかでサステナブルな事を意識して選択することが増えました。
例えば、料理で出たゴミはコンポストを活用しています。中にミミズを入れて生分解させて、葉山で借りている畑や観葉植物の肥料にしています。
また野菜の切れ端などは、ぬか漬けにして食べちゃいます。これでゴミを減らせて栄養も取れて一石二鳥!ぬか床は管理が大変と思われるみたいですが、冷蔵庫で保管すれば数日に1回混ぜれば意外と平気。ズボラさんでも、数日に1回ならできますよ(笑)。
あとは食器を洗うスポンジはへちまを使ったり、洗剤類は環境に影響しないものを選んだり、なるべくプラスチックフリーのものを選んだり…
——こうして振り返ると、意外と多いですね。
そうですね(笑)。買うときの基準になっているのかもしれません。どうせ選ぶなら、環境に優しいものを、と。
バッグやアクセサリーといった小物も昔から大好きなんですが、今はビーガンレザーや再生素材を使っているか、保ちがよく経年劣化も楽しめるか、などを気にするようになりました。とはいえ見た目はもちろん、使いやすさという意味でのデザインも重視しています。私自身になじむ、バランスのいいアイテムを選ぶように心がけていますね。
長く着られる服選び
——〈O0u〉というブランドはご存知でしたか?
ブランドお披露目の展示会に招待いただきました。それまでは、アパレルのサステナブルブランドやエシカルブランドってデザインがいまいちピンとこなくて、それでいて価格も強気!意識がかなり高くないと手にしづらい…という印象だったんです。でも〈O0u〉は、デザインがベーシックで着回しやすそうで、プライスもこなれているので手に取りやすい。すごく親近感が湧きました。
Higg IndexやMSIスコアといった、ひと目でサステナブルなことがわかるロゴや数値を見せる取り組みも、わかりやすくて素敵だなとも思いましたね。
ひとつのものを大切にしたい、という思いがあるんです。だから服に限らずものを選ぶときは、修繕できるか、飽きがこないかがポイント。今日着たアイテムは、どちらも飽きないスタンダードデザインで、いろんなコーディネートに使えそう!
——最後に、これからサステナブルに取り組もうとしている人にメッセージをお願いします。
私は、食や物の選び方や暮らし方にこだわりをもっていますが、決して完璧ではありません。妥協している点もたくさんあるんです。
はじめから完璧を目指すと、少しつまずくと諦めてしまうと思うんです。ひとつずつ、できるようになったら、次のステップへ。できそうな身近なことからはじめてみると、だんだん面白くなって、ゲームをクリアするような感覚で続けられると思います。
Profile:
HALU
葉山出身。大学卒業後、就職せずにフリーランスの道へ。 地球と人に優しい植物ベースのスイーツ、ロースイーツの販売やレシピ開発を中心に活動し、自身のブランド〈マリ〉も運営する。YOUTUBE やYahoo!creatorsでHOW TO動画やサステナブルな場所やコトをSNSで発信。エシカルな食の女性コミュニティ〈エチコヤ〉も主宰する。
instagram:
mari @mari_wa_jp
HALU @haluchn
INFORMATION
Photo:鈴木規仁
Edit&Text:八木悠太