PEOPLE
2023.4.20.THU
MY SUSTAINABLE LIFE
#26
地球に寄り添い、自分らしく生きる
10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。
都内のフラワーショップで3年の修業を積み、「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いから2018年秋に自身のフラワーブランドを立ち上げた、フラワーアーティストの前田有紀さん。
私生活では、自然を求め居住地を変えるなど、自分の好きや自分らしさを考えながら日々の変化の中で、地球に寄り添った暮らしをしています。
そんな前田有紀さんの普段の暮らしや、キャリア、O0uとのコラボレーションに対する思いなどを伺いました。
環境の変化でサステナブルライフへ
―鎌倉へお住まいと伺いましたが、移住にはどのような思いがあったのでしょうか。
結婚してから、夫婦でこれからのライフプランを話し合っている中で、山と海、自然と文化がある鎌倉で子育てがしたいということで意見が一致しました。夫婦共に神奈川の出身ではありましたが、鎌倉に知り合いが多くいるわけではない中で、大きなチャレンジでした。
それまでは街で過ごすことが中心でしたが、鎌倉に引っ越してから、週末の過ごし方が、自然にまつわることが増えました。なるべく子どもたちと一緒に庭にでて、水やりをしたり雑草をとったり、自然との暮らしを意識つけています。
家の中で過ごしていても花を飾ったり、植物を育てたり、自然を感じられる環境作りを心がけています。山や海、ピクニックやお寺巡りなど自然と過ごす時間が家族にとって心地いい時間です。
―サステナブルを意識し始めたきっかけは何でしょうか。
鎌倉に引っ越して山と海のある暮らしを楽しむ中で、たくさんの子育て世代の家族との出会いがきっかけでした。出会ったことで、環境への意識が高い日々の暮らしを知り、考え方が変わっていきました。
―鎌倉での暮らしの中で、ご自身で取り組んでいるサステナブルな活動について教えてください。
それまで使っていた電動の生ごみ処理機が故障してしまい、去年の7月から自宅の庭にコンポストを導入しました。
微生物による分解が早く進むようにゴミを細かくし、分解しにくそうなものは避けるようにしています。数日前に埋めた野菜や果物の皮やお魚のカケラなど、見る影もなく土になってしまい、消えているから不思議です。生ごみ自体の量も減ってゴミ出しが楽になり、子どもたちも土遊びの感覚で手伝ってくれるようになりました。
―ご家族皆さんで取り組みをされているのですね。
東京に住んでいた頃よりも細かくゴミの分別をするようになり、リサイクルに回せるものは積極的にそちらに回すようになりました。家庭内のゴミの全体量も減らしていくという課題はまだまだあります。
また、環境負荷の低いとされる電気自動車に切り替えることも視野にいれています。
自分らしい生き方を原動力に
―前職をやめ、今の活動を始めたきっかけを教えてください。
10年間アナウンサーの仕事に従事し、そこから花屋へと転職しました。
振り返っても、アナウンサーの仕事は毎日刺激的でとても充実していました。特に様々なジャンルのプロフェッショナルの方に出会えたのは、大きな財産です。プロスポーツ選手のみなさんや芸人さん、社会で活躍している起業家など、好きなことを仕事にしている方々にマイクを向けているうちに、「好きなことで自己実現している人」は目が輝いていると感じるようになりました。
自分の「好き」と照らし合わせた時、もっと自分も輝いてみたい!という思いが生まれたんです。
―現在は好きを仕事に活動されていると思いますが、その中で見えてくる「自分らしい生き方」とはなんでしょうか?
転職して、花屋での3年間の修業を経て、起業しました。
「花の裾野を広げること」をテーマに、自分の力が発揮できる活動をすること、やってみたいことを形にしていくことは、とてもやり甲斐がありました。
「自分らしさ」は、自分のアイデアを形にすることで、より明確になってくると感じています。定義はさまざまだと思いますが、私の考える「自分らしい生き方」は、「持続可能である」「自分が心から楽しめる」「未来が思い描ける」ことだと思います。
―自分らしい生き方をもとに今どのような活動をされていますか。
現在は〈gui(グイ)〉と〈NUR(ヌア)〉という2つのフラワーブランドを運営しています。〈gui〉は、お花と触れ合える「タッチポイント」を増やしたいという思いをもったブランドです。
2021年には神宮前に店舗〈NUR〉を立ち上げました。〈NUR〉は、お客様が好みや暮らしに寄り添うお花やフラワーベースなどを選ぶ「オンリーワンの体験」をお届けできたらと奮闘しています。また、チームの皆にも、それぞれの自分らしい働き方を大切にしてもらいたいなと思っています。
花の世界にはいって今年で10年目なので、アナウンサーだった前職と同じくらいの時が流れようとしていますが、まだまだ実現したいこと、学びたいことに溢れています。
裾野を広げるサステナブル活動
―フラワーブランドを運営するなかで、地球環境へ配慮をしていることはありますか。
店頭で売れ残ったお花のうち、まだまだ鑑賞できるお花は、寄付という形で、児童養護施設や子育て支援施設にお届けしています。
大きな装飾の案件では、展示後にクライアントやお客様になるべく束ね直してお渡しして、長く楽しんでいただいています。
また、配送の際に使っていたプラスティックの使用量を減らすように取り組みをしています。その中で、毎月お花をお送りする定期便の利用では、プラスチックフリーでお届けできるようになりました。
その他にも、日頃からお花の生産者さんとの繋がりも大切にしていて、環境意識の高い取り組みをされている生産者さんのお花を積極的に利用しています。「以前よりも気温が高くなってきている」と温暖化の影響を口にする生産者さんもとても多くいらっしゃいます。
花業界が、地球環境と歩みを合わせて持続可能性な形で存在していけるように私ももっと学んでいきたいです。
―職場でもサステナブルな取り組みをされていますか。
花の仕事ということもあり、女性ばかりの職場ですが、スタンスはさまざま。
大きな会社ではないからこそ、その日の体調や取り巻く環境、個人の状況や生き方に寄り添うように仕事をしてもらえたらと思っています。ですので、リモートワークやお休みについても120%希望を受け付けています!
最近は、福利厚生の一環として、お弁当の日を作っています。花の仕事は朝も早く、手を止めずに働き続けることが多いので、スタッフのみんながホッと一息つけるようなお弁当を、知り合いの調理師さんに手作りして届けてもらっています。お弁当の器にはリサイクルできる容器を指定しているので、これまでテイクアウトででていたゴミを減らして、循環する形でお昼をとれるのも嬉しいです。
―事業の中でもサステナブルな取り組みをたくさんされているのですね。
これから、今の事業を続けながら、花業界自体が持続可能性な形で存在していけるように、オランダやフランスなどヨーロッパの事例を学んでいきたいと思っています。
生産のところからエネルギーコストがかかると思いますが、環境に寄り添う形でどんな選択肢があるのか、花屋としてどんなあり方がのぞましいのか、視野を広げて、もっと詳しく研究していきたいです。
地球を大切にしながら自分らしく生きたいと思う方へ
―今回、O0uとコラボレーションをご快諾いただいた理由を教えてください。
本気でサステナブルであることを大きなテーマに据えていて、アイテムの多くは再生素材を使用することはもちろん、ユニセックスに楽しめる、シーズンレスに楽しめる、あらゆる体形に寄り添う、ものづくりをされています。そんなところに共感がありました。
O0uさんには、お花の装飾をきっかけに知るようになりました。展示会にも行くようになって、プライベートでもたくさん愛用しています。中には夫と一緒に使っているアイテムもたくさんあります。
公式サイトでは、デビューから前週までの販売商品での削減効果を累計換算しています。O0uの製品を購入することでの削減効果を公開しているのも新しいスタンダードに取り組んでいて、信頼しています。
―コラボアイテムを通して、どんなことを伝えたいですか。
「新しい、ふつう。新しい、かっこよさ。自分にも地球にも真っ直ぐ向き合う」というコンセプトが本当に素晴らしいと思います。
今回のコラボレーションでブラウスとサロペットを作らせてもらいましたが、会社を立ち上げ、運営し、プライベートでは2人の男の子を育てる身として、働くママを応援するアイテムになればと思っています。
もっと広い意味で、地球を大切にしながら自分らしく生きたいと思う方、全てに知ってもらいたいです。
―最後に、「環境・社会問題、サステナブルな取り組みについて、興味はあるけどなんだか今一歩踏み出せない…」という読者に対して、メッセージをお願いします。
日々の暮らしの中でも「サステナブル」という言葉を多く耳にするようになり、どこか遠いことのようにも感じる方も多いと思いますが、興味のあるジャンルから覗いてみたり、日々の消費行動で信頼できるブランドを選択したりすることもできることの1つだと思います。
また、その選択や行動が「心地よいもの」「自分らしさ」と重なることが何より大切ですね!
PROFILE
前田有紀
10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いから2018年秋に自身のフラワーブランドguiを立ち上げ、2021年4月に神宮前にNURをオープン。2022年5月に初の著書「染めの花 フラワーデザイン図鑑」(誠文堂新光社)を出版。