PEOPLE
2024.5.2.THU
MY SUSTAINABLE LIFE
#34
違和感を大切に
株式会社アダストリアでトレンド予測やブランドディレクター、デザイナーと垣根を越えて幅広い活躍をしている金原広和さん。日々、おしゃれや自分らしさを追求し、違和感を大事にしながら過ごしています。
今回は、そんな金原さんについて詳しく伺い、今後取り組んでいきたいことや、サステナブルに対する“想い”を紐解いていきます。
クリエイションは愛と熱量
――現在どのような活動やお仕事をしていますか。
株式会社アダストリアにて、トレンドについての報告やセミナーの運営と、すべてのお洋服をインドで生産している“INDIA IS BEAUTIFUL(インディア イズ ビューティフル)”というブランドのディレクションをしています。あと、“crinkle crinkle crinkle(クリンクル クリンクル クリンクル)”というウィメンズブランドのディレクションをしています。
――普段、どのようなことからインスピレーションを受けてアパレル製作をしていますか。
アダストリアでの仕事柄、常にメゾンブランドからストリートブランドまで、ファッションに関わることを観察しているので、そのあたりからインスピレーションは受けやすいですね。あと、ヴィンテージや古着がとても好きなので、先人が残したもの(テクニック、柄、カラーなど)からのインスピレーションは、めちゃくちゃ受けていますね!
ーー今後、活動やお仕事を通して何を伝えていきたいですか。
「お洋服・ファッションへの愛!」(笑)ですかね!
すべての感動はクリエイションの愛と熱量だと信じています!それに対価を払うか払わないかがすべてだと思っています。
身近な大切な人を守る
―― 金原さんの考える「サステナブル」とは何でしょうか。
現在の資本家が労働者の労働力を買い取り、商品生産を行うという生産様式の資本主義のもとではなかなか解決策が見いだせないかもしれないのですが、お洋服を必要以上に作らない。そしてすぐにゴミにならないクリエイションを目指すことかな。
これが先ほどもお伝えした、クリエイションしたお洋服に「どれだけの愛と熱量が込められるか」につながります。
あとはお洋服の観点以外だと、身近な大切な人を守っていくことがサステナブルにつながっていると思います。
自分の好きな人が脅かされることを考えたらそれは持続可能な社会ではないと思うので、そうなったときに、身近な大切な人を守るといういい気を少しでも持つようにしています。
―― サステナブルを意識することで今後やっていきたいことがあれば教えてください。
大量に生産しないでも、ハッピーに生きていける仕組み?みたいなものを作れないかなと思っています。
相手を受け入れることで自分らしく
――金原さんの考える「自分らしさ」とは何でしょうか。
自分の価値観はとても大事!けれども自分の価値観だけで他の方を評価・判断しない・・・自分の価値観を押し付けない生き方をしたいということが、今の「自分らしさ」かな。
その自分らしさを保つために、他の方の価値観を「知る、学ぶ、疑問に思う」ようにしています。
まだまだできてないところかもしれないけど、たくさんお話ししたり、交流したりするようにしています。
そして毎日、目に耳に入ってくる膨大な情報をきちんと自分で判断処理ができるようにしたいということ!
これはこうありたいという、次の「自分らしさ」です(笑)
――「自分らしさ」の大事さを実感したエピソードがありましたら教えてください。
様々な人たちが楽しむ、それぞれのファッションが、より素敵に見えた事!
もちろん、自分の価値観からしたら「このスタイルはないな」と思うスタイルもあるんだけど(笑)・・・「この方もめちゃファッション楽しんでるんだよね!素敵だ」って思えるようになりました。
――ファッションに興味を持ったきっかけは何でしょうか。
母の影響が大きいかな。
91歳の今でもファッションや美容に気を遣っていて、とにかくおしゃれな母です。
物心がつく前から母にいろいろなお洋服を着せてもらいました。
その影響で今も楽しくファッションを楽しめているんだと思います。
――金原さまにとってオシャレを楽しむとはどのようなことでしょうか。
とにかく「自分が楽しい」「自分がかわいい(笑)」と思えること!
「電車に乗るのを躊躇するぐらいがちょうど良い」が座右の銘です(笑)
電車に乗る前、「このコーデどうかな。乗っても大丈夫かな。」と躊躇するくらいが自分の中で心地良く好きなファッションで、周りの方に違和感を覚えてもらったらそれは正解だなと思っています。
今までの概念と違ったことを思ったり思われたりするこの「違和感」というものを日々大切にしています。
「サステナブル」にも様々な概念があるように、「かわいい、おしゃれ」にもいろんな概念があって面白いです。
誰でも手に取れるアイテムを創る
――“INDIA IS BEAUTIFUL”というブランドの成り立ちやデビューの背景を教えてください。
一時、私が、アダストリア社内での「生産背景紹介」みたいなもので、インドのものつくりを社内の営業本部やデザイナーに紹介していまして、その活動を何シーズンかしているうちに、「インド生産のコンテンツをやるのはどうだろう?」と社内の方からの提案があり、“INDIA IS BEAUTIFUL”が始まりました。
年齢やジェンダー問わず手に取っていただきたいです。
――ブランドコンセプト、理念、現在の活動内容について教えてください。
「ローカルメイド」「スロウファッション」です。
すべてのお洋服をインドで作るという「ローカルメイド」にこだわり、古くから伝わるクラフトや、歴史的なテクニックを守り、世界のさまざまな文化をインスピレーションにした「価値のある創造」をテーマに活動しています。
今まで十分に機能している技術を駆使して…焦らず、無理をせず、無駄をそぎ落としながら、ファッションを創造し、長く楽しむという、「スロウファッション」という考えで作られた、健やかなお洋服をお届けします。
――どんなお客様が誰のために買っていますか?(予定通りの部分、想定と違ったことなど)
個性をしっかりお持ちのお客様が、楽しんでご自分のために購入しているお姿を見るのがうれしいですね。あと、思っていたよりも年齢層の高い方が購入してくださっているようなのがうれしいです!
――今後のブランドの展望について教えてください。
インド生産という背景は、ある意味特殊なんです(特に私が依頼している背景)。納期が遅延しやすかったり・・・B品率が高かったり・・・。そういう今の資本主義の中では、よくないといわれる生産システムを、より素敵に活用できるブランドになりたいかな。
それと合わせてサステナブルを意識するとなると「ゴミになってしまうようなクリエイションはしない」の考えのもとの制作活動をしたいなと思っています。
―最後に、「環境・社会問題、サステナブルな取り組みについて、興味はあるけどなんだか今一歩踏み出せない…」という読者に対して、メッセージをお願いします。
無理に考える必要はないと思います。
まずは、身近な大切な人、愛する人が幸せであることに正直に生きることが大事なのでは?
PROFILE:
金原広和(きんばらひろかず)
「INDIA IS BEAUTIFUL」、「crinkle crinkle crinkle」ディレクター。
長年テキスタイルデザイン会社にて企画営業に従事し、コレクションやメゾンブランド、セレクトショップを担当。現在は株式会社アダストリアにてトレンド予測やブランドのディレクター兼デザイナーを兼任している。
INFORMATION
■【INDIA IS BEAUTIFUL/インディアイズビューティフル】
一部コレクションをO0uブランドサイト、O0uニュウマン横浜POPUPストアでも2024年4月25日より取り扱い中。https://o0u.com/collections/india-is-beautiful
金原広和さんも出演している“relief O0u”特設ページ公開中:https://o0u.com/collections/reliefo0u-1st