INSIDE O0u
2022.07.05 TUE
INSIDE O0u
#08
花束をもらったときのような喜びを
“ニューノーマル”が叫ばれるこの時代に、これまでにない新しい服づくりの仕組みや新時代にふさわしいデザインを実現すべく2021年春にデビューした〈O0u〉。地球環境に配慮した生産方法にこだわり、デザインの細部にも長く愛用してもらうための工夫を続け、さまざまな人のライフスタイルに寄り添いながらファッションの楽しさを表現してきました。
そんな〈O0u〉が、〈VASE O0u(ベース / オー・ゼロ・ユー)〉という新ラインを発表しました。〈O0u〉のレギュラーコレクションとともに、花瓶(VASE)に花を挿すように、様々なヒトやモノとコラボレーションし、ブランドが持つ想いを広く伝えたいという思いを込めて、新たなワクワクや喜びを作ることを目指しています。
今回は、〈VASE O0u〉の第一弾となるコラボレーションにて〈VASE O0u ENA KIZAWA〉を担当したデザイナーの鬼澤瑛菜さんに、この新ラインへの思いや、プロダクトへのこだわり、自身のライフスタイルまでも、語り尽くしていただきます。

〈VASE O0u ENA KIZAWA〉デザイナーの鬼澤瑛菜さん
花束をもらったときような嬉しい気持ちになってもらえたら
ーーまずは、今回のコラボレーションライン〈VASE O0u ENA KIZAWA〉のディレクションをするにあたり、どんな経緯があったのか伺っても良いでしょうか?
〈O0u〉がとても大事にしている「自分にも地球にも、素直にまっすぐ向き合う。」ということは私自身も日頃、常に考えていることでした。地球にやさしくありたい気持ちや、自分を大切にしたい気持ち、不自然なモノやコトへの疑問、全ては循環していること、自分には何ができるか、などを考えているタイミングでお話しをいただきました。
このコラボレーションラインのお話を頂く以前から〈O0u〉というブランドのことは知っていましたし、本気でサスティナブルや循環に取り組んでいることも知っていましたので、大変嬉しく思いました。
私事ですが、最近アトリエ兼自宅の引っ越しをしたタイミングでもあります。静岡県南伊豆の山の奥の方です。毎朝鳥の声で目覚め、自然に囲まれて過ごしています。それまでも海に近い湘南や西湘に暮らしてきましたが、今まで以上に自然の中で暮らすことがよりクリエイティブに繋がると思うようになりました。東京での仕事も続けながら自然の中で暮らすことでトレンド感と世の中の流れを見つつ、クリエイティブな感覚とのバランスを取るように過ごす環境がとても充実していて刺激的です。そんな感覚を今回の〈VASE O0u ENA KIZAWA〉にも活かせたらいいなと思います。

南伊豆の海岸を愛犬と散歩して、心と体をリフレッシュ
ーーご自身のライフスタイルもシフトさせ、地球への感謝をより身近に感じるようなタイミングでもあったのですね。〈O0u〉と共に歩むこのコラボレーションラインにも、反映させていったことがあるのでしょうか?
そうですね。〈O0u〉はサステナブルな素材使いでユニセックス着用できるアイテムも多く、日常に取り入れやすいデザインが多い印象ですが、〈VACE O0u ENA KIZAWA〉は装飾的で、シンプルな部屋に飾られた花瓶の花のようにパッと映えるコレクションにしました。実際に手に取り、着て頂いた方にも、誰かに花束をもらったときのような嬉しい気持ちになってもらえたらと思っています。

【VASE O0u ENA KIZAWA】バルーンスリーブブラウス / タックバルーンスカート
今回のコラボレーションラインではレディースに特化しており、デザイン性やシルエット、フォルム感や着心地を考えたパターンを重視しました。もちろん、〈O0u〉が一番大切にしている地球に優しい作り方をしている素材使いという部分は意識しました。

【VASE O0u ENA KIZAWA】バルーンスリーブタックドレス
このコラボレーションラインは、全体的にギャザーやラッフル、連続タックのディテールを組み合わせ、花びらのように立体的なフォルムが印象的なコレクションに仕上げました。甘くなりすぎないよう、ポイントで直線的に連続するタック使いをプラスすることで、ややシャープな印象に仕上げています。ディテールを強調しながらも体型の気になるところはカバーし、着た時に際立つフォルムを重視したシリーズです。
ーー実際に拝見させていただきましたが、細部にも美しさへのこだわりが感じられますね。この花びらのようなディテールやシルエットを完成させるには、苦労したこともありましたか?
そうですね。今回のシリーズでは特に、贅沢にタックとギャザーのテクニックを使ったところが特徴的です。後ろ姿も美しくなるようにタックを使いを取り入れたり、袖には丸みを持たせ、立体的に仕上げています。これらは咲いている花びらのようなイメージを表現するための大切な要素になっています。

バックスタイルも美しい、バルーンスリーブブラウス
それに加えて、今回は〈O0u〉がこれまでもずっと大切にしてきているように、全アイテムサステナブルファブリックを使うことを決めていたので、かなり多くの生地を見た中から、作り上げたい表現と、着心地を考えました。それらの最高のマッチングを見つけるまでは検討を何度も重ね、ようやくいいものに出会えたように思えます。
ファスナーなどの付属をなるべく使用しないようにしたことで、ナチュラルで柔らかな表現ができたところも気に入っています。

ブランドネームタグに再生ポリエステル、大豆由来のソイインクを採用
自分にも地球にも、素直にまっすぐ向き合う
ーーさきほど、南伊豆にも拠点を持たれたタイミングであることを伺いましたが、鬼澤さんのインスタグラムからも自然を感じながらの生活を楽しんでいらっしゃる様子が伝わります!最近の暮らしの様子を少し教えていただけますか?
移住先の家にはもともと周りに木が多く、裏山もあります。今まで住んでいたところではシェア農園を借りて色々な野菜やハーブを育てていたのですが、ここは畑とはまた違った植物や実が採れるので、それを収穫して料理したり、お酒に漬け込んだりして楽しんでいます。

梅の実や、夏みかんなどを収穫。暮らしながら季節を感じられる日々に感謝
晴れた日は必ず海に行ってサーフィンをして頭をしっかり切り替えるようにしています。忙しい時ほど海へ行くように心がけているのですが、海の上で波待ちをしていると他のことを考えなくなるのでデザインで煮詰まっていたりしても、頭が自然とリセットされる感覚があります。海から上がったら温泉に立ち寄って、帰宅してから仕事をするというような感じです。
季節毎の旬なものを使って料理をすることや食べること、海や山で過ごすこと、地球から湧き出る温泉もそうですが全てが自然の流れで、循環しています。〈O0u〉のテーマである 「自分にも地球にも、素直にまっすぐ向き合う。」ことは、人間にとって本当に大切なことだなと改めて思います。
これからも無理なく、地球に優しい選択ができたら
ーーそんな暮らしを送る鬼澤さんの今後は?
今まで自分のブランドでもコットンやリネンなどの天然素材を使うことは多く、ナチュラルな表現ができるところ、着ていくうちに自分らしく馴染んでいく素材感が好きでした。今回〈VACE O0u ENA KIZAWA〉では、サステナブルファブリックの中でも、再生ポリエステルの素材を取り入れてみました。
天然100%の素材よりも張り感があり花びらのような表現には適していて、大輪の花のようにとてもきれいな立体感が出せたと思います。
ペットボトルを再生して作られたファブリックから、美しい花束を作れたような感覚はとても嬉しく、手に取っていただく方へのプレゼントのような気持ちと、着るたびに少しでも地球のことを考えてもらえたらな、というふうに思います。今後もさまざまなサステナブルファブリックを取り入れていきたいと思いました。
ーー最後に〈VASE O0u ENA KIZAWA〉を手にとってくれる方にメッセージをお願いします。
今回発表したアイテムはどれも花をイメージして、デコラティブな要素を多く取り入れたことで、みなさんにブーケのギフトを届けるような感覚でいます。手にとってくださったみなさんに愛され、長く大切に着てもらえるような一着になれば嬉しいです。
Profile:
鬼澤 瑛菜
文化服装学院卒。企業デザイナーを務めた後、フリーランスデザイナーとして活動。
2011年 企画会社 (株)5-knot design.(ファイブノットデザイン)設立。様々な企業のブランドディレクションや商品企画を行う。
2012年 自社ブランド5-knot…(ファイブノット)を夫婦で立ち上げる。ブランドコンセプトは「旅とヴィンテージ」。夫婦で世界中を旅しながらインスピレーションや古着を集め、日本の産地を旅しながら糸の開発や素材作り、ものづくりをしている。
現在、南伊豆と東京を行き来しながらブランドとディレクションの仕事を続けている。