PEOPLE
2021.07.09 FRI
MY SUSTAINABLE LIFE
#09
料理人・寺井幸也"ごく自然なこと"
食を通して人生を豊かにする「幸せ料理人」として活動する寺井さん。彼が作るヘルシーで彩り豊かな「幸也飯」は、大手企業からモデル、インフルエンサーまで幅広い層に支持されています。レシピ本も大人気。今月にはリニューアルオープンする渋谷東急フードショーに新店舗を構えるなど、多忙な日々を送ります。そんな寺井さんにとって、サステナブルとは? 気になる新店舗についても迫ります。
大事に育てられた食材を無駄なくいただく
――料理人のみならず、様々な商品プロデュースやイベントでの講演など、幅広く活躍されていますが、ご自身のルーツについて教えてください。
実は有名なレストランで修行を積んで独立したわけではないんです。祖父が料理人で実家が民宿という環境で育ち、家業の手伝いをしていたので、小さなころから料理をするということはごく自然で当たり前のことでした。地元が鹿児島なんですが、目の前には海があり、裏には山があるような田舎。うちの民宿では、そこで取れた海の幸やジビエ、野菜など、素材本来の味を最大限に活かしたシンプルな料理を提供することが多かったんです。素材の旬を大事にして、過剰な味付けはしないという点は、今まさに展開している「幸也飯」にも通ずることですね。

自宅では“ぬこ殿”と“わか様”、2匹の猫と暮らす。保護猫を引き取って家族として迎えたそう。
――なるほど、味も見た目も優しいのはそういうルーツだからなんですね。お店ではなにか“サステナブルな意識”を持っていますか?
なるべく食材ロスを出さない、環境に優しい洗剤を使う。でもこれって、結構当たり前、ごく自然なことだと思っていたから、あえて強く言うことではないですけどね(笑)。うちは他の飲食店に比べてゴミが少なく、1日でゴミ袋1袋ほど。意識して減らしているというよりは、自分の料理の理想を追求した結果だと思います。

幸也飯の人気の理由は、その色彩。見た目も楽しく、美味しくて身体に優しい。そんな料理の本質が詰まっている。写真提供:株式会社YUKIYAMESHI
――「料理の理想」とはどんなことですか?
デリ&ケータリングを始めたのは2015年。要望があればヴィーガンや小麦粉不使用メニューにも対応するようにしています。お客様の口に入れるものだから、自分が仕入れている食材はどんな人がどんな思いを込めて、どのような環境で作っているかを知りたくなったんです。そこで休日に生産者めぐりをするようにしたんです。それこそ全国各地、いろんなところを。そこで出会った生産者の方々は、多くをオーガニックや無農薬で育てていて、生産性や効率よりも安全性を強く意識していたんですよ。
そんな大事に大事に育てられた食材は絶対に無駄にしない、ロスしてはいけないと強く思ったんですね。その結果、皮まで美味しく食べられるメニューを作ろうと心がけるようになったんです。結果ゴミも減ったし、また廃棄しないように売れる数だけを作ろうという意識も生まれました。
新店舗ではよりサステナブルを意識
――気になる幸也飯の新店舗についてもお伺いしたいのですが、中目黒に次ぐ2店舗目ですよね?
そうです。渋谷東急フードショーが全面リニューアルされたのですが、そのタイミングでの出店となりました。小麦粉ではなく米粉を使った唐揚げや春巻き、動物性食品不使用のデリ、稲荷やお弁当を中心としたメニューを販売します。
――お弁当は具体的にどんなものですか?
ただ身体にいいだけではなく、多くの人が働く渋谷での出店ということも考えて、美味しくて食べごたえがあるということも大事にしています。できるだけ無添加に近づけていますし、さらには好評いただいている稲荷も一般的なかつおダシではなくしいたけダシを使うなど…思っている以上に手間暇が掛かっていますよ(笑)。それから容器もリサイクルで作られたものを使用するなど、サステナブルを意識しました。

渋谷東急フードショーにできた新店舗では、10種類のお弁当が選べる。中でも一押しはお稲荷さん
――新店舗の制服はO0uが手がけていますね。どのような経緯で作ることになったのですか?
O0uとの出会いは今年の3月ごろ。ひととおり説明いただいたんですが、ブランドのコンセプトに感銘を受けて、せっかくなら新店舗の制服をお願いできないかと、お声がけさせていただいたんです。こだわりは、リサイクル素材で、動きやすく、汚れにくいということ。飲食店の作業着はスタッフたちが気持ちよく働けることも大事ですし、ハードな作業にも耐えられることも必要。どの要望にも応えた、理想的な制服を作ってもらえました。

制服として採用されたオールインワンとエプロンは、リサイクルポリエステル素材。ストレッチが効いていて動きやすく、速乾性があるので、新店舗の制服ニーズにマッチした。
――寺井さんから見て、O0uの魅力はどこにありますか?
サステナブルを強く意識しながらも、企業努力で価格を抑えており、若いお客様でも無理なく手を出せる。その点がとくに素晴らしいと思います。サステナブルって、やっぱり無理なく続けられることが大事ですから。ベーシックでありながらも、しっかりとトレンドを抑えているし、そのバランスが絶妙だと思います。以前アパレルに務めていて経験もあるから、わかるんです(笑)。またオンラインストアを覗くと、自分が手に入れたアイテムが作られた過程のうえで、どれだけ環境負荷を抑えたのかを確認できるところも、わかりやすいし、興味深いなと思いました。
“捨てない”は立派なサステナブル
――プライベートでサステナブルを意識されることはありますか?
自宅でも料理をすることが多いですが、食材を無駄にすることはほとんどありません。またプラスチック製の皿類は極力使わず、好きな作家さんの作品である食器が中心。「幸也飯」の見栄えには、作家さんの素晴らしい器が欠かせませんから。洗剤もできたら環境に配慮したものを使うなど、小さなことからちょっとずつ意識すればOKかな、と思っています。

食器用洗剤とキッチンマルチクリーナーは、環境はもちろん肌にも優しい無香料・無着色タイプ「エコベール ゼロ」を愛用。

イエローのボウルは100円均一ショップで購入した6年選手。プラスチック製だが、買い換えるより長く使うことを優先
――なるほど、寺井さんは、とても自然にサステナブルを意識しているのですね。今後はどのような取り組みを考えていますか?

この日、着用したO0uのセットアップ「着心地いいうえにちゃんとして見える。プライベートでも愛用しています。」
Profile:
寺井幸也
1988年生まれ。鹿児島県出身。2015年より「幸也飯」の屋号でケータリング事業をスタート。その圧倒的なヴィジュアルと確かな味が人気を呼び、また2017年にはレシピ本も発売。2021年7月に渋谷東急フードショーにて新店舗をオープン。
Instagram @yukiya.terai
INFORMATION
ダブルポケットシャツショートスリーブ ¥8,900(寺井幸也さん着用アイテム)
ライトストレッチイージーパンツ ¥9,900(寺井幸也さん着用アイテム)
Photo:鈴木規仁
Text:佐藤周平